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2022/09/22

<アイデアソン特集>新千歳空港からわずか30分・長沼町が目指す “シン・長沼ワーケーション”

北海道の中央部、空知地方に位置する長沼(ながぬま)町は、のどかな田園風景が広がるエリアにあります。今回のアイデアソンでは、現在取り組むチームビルディング型プログラムの体験や、地域で核となる施設を視察しながら、「行政主導から商業ベースの民間主導の取組へのシフトに向けた方策」について議論します。長沼町役場でワーケーション業務を担当する政策推進課の 山下 宏之さん、花田 康平さん にテーマを設定した背景や狙い、アイデアソン実施に向けた熱い想いなどについて伺いました。

目次

● アクセス抜群の “ちょうどいい田舎”
● 行政主導の取組から商業化を目指した民間主導の取組へのシフト
● 外部の視点で地域を再構成していく

● “ワーケーション” を通じた今後の “まちづくり” を考えていきたい

アクセス抜群の “ちょうどいい田舎”

はじめに長沼町の特徴について教えてもらえますか。

山下氏 : 面積の約7割が田畑や牧場で占められる、のどかな田園地域です。道内の農産物の主要供給基地であることはもちろん、グリーン・ツーリズムも積極的に受け入れ、都市との交流が盛んに行われています。アクセス面では新千歳空港から車で約30分、札幌市からも1時間以内にあるので、ちょうどいい田舎を体験できる地域ですね。

これまで行政としてどのようなワーケーションの取組を行ってきたのでしょうか

山下氏 : 2018年に総務省の「ふるさとテレワーク推進事業」を活用し、町内中心部にコワーキングスペース「ながぬまホワイトベース」を開業しました。町内のベンチャー企業である合同会社マスケンが運営し、現在では町外からの出張者だけでなく、町内で働く方も集う施設になっています。2020年度から “ワーケーション” としての受入も開始し、今年度で3年目となります。

▲電源、コピー機のほか、ミーティングに利用できる個室や専用ブースを完備/イベント・ワークショップも開催可能

行政主導の取組から商業化を目指した民間主導の取組へのシフト

今回のテーマは「GtoCからBtoBへ シン・長沼ワーケーションの探求」とあります。そのように設定した背景や狙いはどのような点にあるのでしょうか。

山下氏 : 2020年度に事業を立ち上げ、町内事業者とともに受入環境の整備やコンテンツ造成などに取り組んできました。今年度も(一財)地域活性化センターの助成金を活用し、チームビルディング型ワーケーションの可能性を検証しています(関連記事)。 “受入時の全体コーディネート” という意味では、現在も行政主導の状況 “GtoC(Government to Consumer)” です。

花田氏 : これまで訪問された方と町内事業者との間で商談が進みつつあるとも聞いています。こうした “萌芽” を育て、大きく発展させるには町内に受け皿となるプラットフォームを作り、長期的に取組を継続する必要があると認識しています。私たち行政職員だけでなく、民間事業者の方にもコアメンバーとして参画していただきたいと考えています。

事業者の方はビジネスとして成立する仕組み(コーディネートの対価獲得など)がないと参画しにくいですよね。

花田氏 : そのとおりです。役場職員の立場だと利益度外視なので、ビジネスとして運営するという発想になりにくいのです。アイデアソンでは、そもそも長沼町にどのようなポテンシャルがあるのか、さらには民間主導 “BtoB(Business to Business)” で求められる要素などを把握しながら、今後どのように事業を展開すればよいかについて一緒に議論したいと考えています。

外部の視点で地域を再構成していく

——参加される方にとっては、町内事業者との接点を作ることが重要ですよね。

花田氏 : 町内にはまちづくり領域で活躍されてきた団体があり、現在の会員は、町内唯一のコワーキングスペース運営者、ゲストハウスの運営者、町のワーケーション事業で現地コーディネーターを担っている方など様々です。こうしたキーパーソンの方々とは視察や意見交換の場で交流していただきたいですね。今回のプログラムでは私たち行政職員も同行しますので、異なる立場から見る長沼町についてお話しできると思います。

——3泊4日の視察プログラムについてはどうでしょうか。

花田氏 : 初日、2日目は長沼町の核となる観光施設を周遊しながら、私たちが現在力を入れているコンテンツを視察いただく予定です。来た方が「楽しい、また来たい」と思ってもらえることが理想ですね。また、3日目に入れたシティロゲイニングはチームビルディング事業の中で実際に提供しているプログラムです。

▲チームでルートを相談して決め、町内各地に設置されたチェックポイントを巡るロゲイニングハイキング

山下氏 : 地理面からいえば、行程を通じて農村部~市街地の順に見ていただきます。視察先にあるマオイ蒸溜所は、ワイナリーを事業継承し、今年5月にオープンしました。馬追丘陵を見渡せる環境でブドウ畑が広がる、本格的な蒸溜施設です。隣町の千歳市で日本酒、札幌市内でクラフトジンを作り、焼酎以外は全部作ると聞いていますね(笑) できて間もないですが、地域に根差した施設です。どの視察先も今後取組の中心に据えたいと考えている優れたコンテンツですが、どのように再構成し、外部に発信していけばよいか参加者の方と共に議論していきたいですね。

“ワーケーション” を通じた今後の “まちづくり” を考えていきたい

——最後に、長沼町でのアイデアソンに参加を検討されている方にぜひメッセージをお願いします。

山下氏 : 今回のアイデアソンをきっかけに地元住民を巻き込んだ “レール” を敷いていきたい、理想をいえば一緒にレールを敷いていただけるパートナーが見つかると嬉しいですね。

花田氏 : 長沼町のどこにポテンシャルがあるかを一緒に見ていただき、私たちとともに持続可能な方策を考えるスタート地点に立っていただきたいですね。3泊4日の行程の中で長沼町を隅々まで知っていただくことになると思います。ワーケーションだけでなく、今後町内での自社サービス展開に向けた可能性も検証できるかもしれません。

地域課題解決型アイデアソン インタビュー連載

#1 帯広市 | 「十勝・帯広の優位性を活かした “ワーケーション” のあくなき追及」
#2 富良野市 | 「富良野市 “ゼロカーボンシティ” への挑戦」
#3 今金町 | 「『何もないから何でもある』へ—今金町 “ゼロから始める観光振興”」
#4 長沼町 | 「新千歳空港からわずか30分・長沼町が目指す “シン・長沼ワーケーション”」
#5 上川町 | 「観光リゾート地・上川町で実現したい “滞在型観光のカタチ”