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2022/08/16

インタビュー

<インタビュー特集>函館市企業立地担当が見据える “ワーケーションの先” とは

異国情緒ある港町・函館(はこだて)市では、8月から「函館市ワーケーション体験ツアー」を開始し、地域交流やビジネス商談会などが含まれるプログラムを3つの季節に分けて提供します。8月22日(月)からの第1回ツアー開始にあたり、今回は函館市でワーケーション業務を担当する経済部工業振興課の 今井 隆司 さん、中川 優南 さん におすすめプログラムだけでなく、事業を通じて期待する連携方策などについても伺いました。

目次

●企業や人の “つながり” を大切にして誘致に取り組んできた
●企業誘致からワーケーション受入に至った理由
●旅マエからかゆいところに手が届くようなフォローを提供

● “テレビの中で見た” 親しみある光景が広がる函館

企業や人の “つながり” を大切にして誘致に取り組んできた

——おふたりの所属は経済部の中でも企業立地担当と伺いました。はじめにチームの役割について教えてもらえますか。

今井氏 : 市外企業の誘致を通じて地域経済の活性化を図ることが私たちのミッションです。立地企業の持続性を高めるため、市内企業、学術研究機関等との橋渡し支援なども行っています。首都圏等で開催される展示会の出展など、積極的なシティセールスを展開し、企業や人との “つながり” を大切にして誘致活動に取り組んできました。

——平成27年度以降に30社が立地しているそうですが、立地企業について詳しく教えてください。

今井氏 : 誘致に力を入れているIT企業が30社の半数以上を占めており、大手・中堅からベンチャー企業まで、様々な企業に選んでいただいています。魅力度ランキングやミシュラングリーンガイドなどで知られる “観光地” としての認知度や、生活インフラが整っていることはもちろん、公立はこだて未来大学(※)の優れた学生を採用したいといった人材を期待する声も多くいただきます。

※函館市内に所在する、システム情報科学部の1学部からなる単科大学。情報技術やデザインなどのカリキュラムを提供している。

▲函館市経済部工業振興課企業立地担当 主査 今井 隆司 氏

企業誘致からワーケーション受入に至った理由

——どのようにして企業誘致からワーケーションという着想に繋がったのでしょうか。

今井氏 : 私たちの部署では、以前から「ものづくりシティセールス事業」を展開してきました。将来的な立地を希望する企業・団体を対象に、地元企業や高等教育機関向けの視察をアテンドしたり、観光地をガイドしながら函館を理解してもらうことが目的です。今でいえば “ワーケーション” ですね。こうした取組の素地があったので、ワーケーションの利用としても2020年度から事業を開始しました。

——事業を開始する際に意識したことや、新たに取り組んだことなどはありますか。

中川氏 : オフィス制度を撤廃し、完全在宅勤務となる企業も出てきたなか、「転職なき移住」という新たなライフスタイルも出てきました。こうした働き方改革のトレンドも踏まえ、私たちのターゲットも “企業から個人” へと変わってきています。フリーランスの方などの多様なニーズにも丁寧に対応できるように、現在では移住・観光担当部署との間で情報共有するなど、連携を図っています。

今井氏 : また私たちの支援を経て、市内大学と連携して共同研究を進める立地企業も出てきています。例えば、東京本社をもつITベンチャー企業のe-Janネットワークス社では、函館市に進出後、ヒューマンインタフェースの研究者と連携し、360度カメラやVRゴーグル導入を活用した「ミライノオフィスプロジェクト」に取り組んでいます。このような成果が出てきているのは嬉しいですし、今後もこうした成果が生まれるようにワーケーションに参加される方をサポートしたいですね。

旅マエからかゆいところに手が届くようなフォローを提供

——2020年度は38社・67名、2021年度は25社・30名(※コロナウイルス拡大の影響あり)にワーケーションを実施していただいたそうですが、これらの事業を踏まえ、今年はどのように事業をアップデートされる予定でしょうか。

中川氏 : 「参加時期を選べるようにしてほしい」という声を一部いただいていたので、夏季限定としたツアー日程を見直し、紅葉が美しい秋や雪が少なく過ごしやすい冬なども開催時期に加えました。また、参加条件も見直しを図り、今年度からは個人事業主(フリーランサー)も参加できるようにし、すでにお申し込みもいただいています。

▲函館市経済部工業振興課企業立地担当 主任主事 中川 優南 氏

——個人の方はニーズが多様なため、「期待していた内容と違った」としてミスマッチがあったと聞くこともあります。

中川氏 : 定員を各回10名までとし、丁寧なフォローができるようにしています。私たちと共に大手旅行代理店が事業を企画・運営し、担当社員が専用コンシェルジュとして実施ニーズの聞き取りなどを実施しています。移住に興味がある方であれば、ツアー中に移住サロンの参加を手配するなど、旅マエから丁寧なフォローを行っています。もちろんツアー中もお困りのことがあれば、コンシェルジュが迅速に対応します。

今井氏 : 市内企業とのビジネスマッチングはもちろん、私たちのチームでは市内学術研究機関との産学連携も担当しているので、研究室訪問なども私たちが直接アテンドできることもポイントです。はこだて未来大学では民間企業のR&D部門との共同研究も積極的に取り組み、デジタル交通システムサービスやAI技術を活用した大学発ベンチャー企業なども生まれています。

——現在ツアーのお申し込みを検討している方に対し、おすすめプログラムを教えていただけますか。

中川氏 : 将来的な移住や親子での参加を希望される方向けに、コワーキングスペース周辺の市内保育施設で一時預かりのオプションを設定しています。また、観光プログラムであれば、夏は川下りクルーズ、親子で楽しめる磯遊びなどがおすすめですね。秋は紅葉散策、冬は全面結氷した湖の上でスノーモービルやワカサギ釣りなど、北海道らしいアクティビティが楽しめますよ。年間通してぜひ見ていただきたいのが函館山からの夜景です。特に冬は空気が澄んで別物と思うほど綺麗に見えますね。

▲函館山からの夜景

今井氏 : 観光の話ばかり出てしまいましたが(笑) もちろんテレワーク施設も市内各地に整備されています。歴史的建造物をリノベーションしたテレワーク施設もあり、普段と違う環境の中で集中して作業できると思います。また、サービス業や製造・加工業などでは、DX化推進の面で課題を抱えている事業者も一部みられます。そうした事業者とのマッチングを通じてビジネスチャンスに転換できるかどうかも含め、この機会に一度訪問していただけると嬉しいです。
全国各地でワーケーションに取り組む自治体が増え、 “選ばれる理由” も必要になっています。函館は道外都市圏に比べてビジネスとしてのマーケットサイズは大きくはありませんが、競合企業が少ないという利点があると思っています。

“テレビの中で見た” 親しみある光景が広がる函館

——最後に、北海道でのワーケーションを検討されている方にぜひメッセージをお願いします。

今井氏 : 函館は異国情緒漂う中世にタイムスリップしたような街並みで、市街地を歩いているとCMやドラマのロケ地になった “テレビの中で見た” 親しみある光景が流れてきます。非日常の環境のもと、新しいアイディアやクオリティの高い仕事に繋がるだけでなく、市内事業者や大学とのマッチングを希望される場合にも、私たちのチームが直接アテンドします。ぜひ市内でビジネスチャンスを探索するきっかけとして活用してください。

中川氏 : 私は大学進学を機に函館から離れ、関東・関西で約7年間過ごしました。函館にUターンした今では、通勤ストレスもなく、保育施設や医療機関も充実した “ちょうどいい暮らしやすさ” だと実感しています。北海道の中核都市としてインフラも整っているため、初めての方でも安心して参加できる地域です。今の生活を変えたいと思っている方も含めて一度函館へ訪問していただければ、よりよい滞在となるように私たちが徹底サポートします。

函館市「ワーケーション体験ツアー」では、参加企業・団体などの方を広く募集しています。ツアー各回の定員に達し次第募集終了となっていますので、参加を検討される方は、お早めにご準備ください。
また、北海道庁では、ご希望の内容に応じた道内での実施プランをコーディネートしています。「まずは話を聞いてみたい」「費用感を教えてほしい」など、ワーケーション実施にご関心がある方は、ワンストップ窓口までお気軽にお問い合わせください。

北海道型ワーケーション インタビュー連載

#1 公開中 | 「北海道庁ワーケーション事業担当者が語る 市町村と “共に創る” ワーケーションとは」(北海道庁)
#2 公開中 | 「長沼町が『ワーケーション×チームビルディング創生事業』に取り組む本当の狙い」(長沼町)

#3 本記事 | 「函館市企業立地担当が見据える “ワーケーションの先” とは」(函館市)