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2022/07/21

<ワーケーション体験記>東京から90分!ITベンチャー企業が北海道でのワーケーションを決断した理由とは

近年、大きな注目を集めている「ワーケーション」。
地域から新たな誘客手段として期待が寄せられる一方で、「興味はあるけれど、社内制度も含めてどこから取り組めばいいかわからない」「バケーションのイメージが先行してしまい、遊びに行くと思われてしまう」など、 “とっつきにくさ” を感じる方もいるのでないでしょうか。また、北海道は広大だからこそ「どういった過ごし方ができるか想像しにくい」と思っている方もいるでしょう。

そんな方に向け、北海道でワーケーションを実施した企業の声を届ける特集記事「北海道型ワーケーション体験記」。第1弾として、今年5月に胆振(いぶり)エリアで周遊型ワーケーションを実施された株式会社ユニヴァ・ペイキャスト様に、北海道でのワーケーションを決断した経緯や地域の魅力、道内自治体・事業者との連携可能性などについて伺いました。

▲株式会社ユニヴァ・ペイキャスト 代表取締役 中尾 周平 氏

芝浦工業大学システム工学部卒業後、2004年に株式会社インターネットペイメントサービス(現株式会社ユニヴァ・ペイキャスト)に入社。同社取締役、取締役社長を経て2018年4月から代表取締役社長に就任。

同社ではオンライン/オフラインの決済代行サービス「UnivaPay」を提供しているほか、アリババと提携した「アリペイ(Alipay)」をはじめ、アジア圏を中心としたキャッシュレス決済ブランドの導入に力を入れています。

目次

● “新たな働き方” を通じて個人・チームの能力を最大化したい
● 企画からトライアルまで速やかに実行できた理由
● 北海道で感じたワーケーションの “リアル”

● 世界と日本を繋いで、地域がもつ情報を発信するのが私たちの使命

“新たな働き方”を通じて個人・チームの能力を最大化したい

——約90名の社員の中で日本を含めて14か国出身の社員がいるなど、多様なバックグラウンドをもつユニヴァ・ペイキャスト社。そうした風土のもと、プライベートを大切にする働き方を推奨していると伺いました。

「コロナ禍以前からエンジニアは裁量労働制を取っており、テレワークも実施していました。他部署は裁量労働制では無いのですが、テレワーク実施可能と判断したことから、現在ではバックオフィスも含めて広く運用しています(※昨年度の在宅勤務率は約80%)。
一方で閉鎖的な環境では、仕事だけでなく日々の生活にストレスを抱えてしまい、結果として仕事でも個人がもつポテンシャルを最大限発揮できないというスパイラルに陥ります。経営者としてこうした”モヤモヤ”を感じていました」 (中尾氏)

▲ユニヴァ・ペイキャスト社は14か国出身者が勤務し、グローバルな価値観のもとで事業を展開

——そんな中、中尾社長が東京で開催されたビジネス展示会に参加され、偶然参加していた北海道庁担当者との会話を通じて北海道のポテンシャルに着目し、実施につながったとお聞きしました。今回のプロジェクトの目的はどこにあるのでしょうか。

「保養施設を活用した研修旅行は今や難しくなってしまいました。プロジェクトチームごとに短期間で集中的にアイデア創出ができないかと考えていたところ、ワーケーションが活用できるかもと思ったのです。いつもと違う環境に身を置き、感性を研ぎ澄ませることで、より新しい、斬新なアイデアが出てきたり、またチームで作業することでお互いの理解も進むことを期待していました。
提案いただいた北海道の環境は広大な自然が広がるだけでなく、当社の強みである「グローバル」という視点だと、インバウンドへの訴求力も大きく、滞在中の交流を通じて地域を知り、ビジネスチャンスに転換できる契機と思いました」 (中尾氏)

企画からトライアルまで速やかに実行できた理由

——今年5月からは社内チームを作り、国籍や業種によらない様々な価値観のもとでアイデア創出を行うという企画(「イノベーションチャレンジピッチ」)に取り組んでいるそうですが、トライアルをスムーズに進めることができた理由の一つには、そうしたカルチャーが社内で浸透していたこともあるのでしょうか。

「すでにリモートワークの制度設計も進めていましたし、短期間で集中的に議論することにより、アイデアをより上位のものにブラッシュアップしていくというイメージもできていました。社内でイノベーションチャレンジピッチという企画を実施していたこともあり、社員の間でもパーパスが共有できていたので、当社にとってトライアルすることに対するハードルは少なかったです。まずは自分たちが体験してみないとと思い、私を含めた経営陣と社員の5人で北海道に訪問することにしました」 (中尾氏)

中尾社長らが北海道庁ワーケーション担当者とキックオフミーティングをしたのは、今年1月下旬のこと。その後、実施ニーズの聞き取りや滞在プランの提案などのやり取りを重ね、5月23日~28日に来道が実現しました。その間、北海道庁担当者らの細やかなケアがあったことから、不安はほとんどなかったといいます。

北海道で感じたワーケーションの “リアル”

——今回の5泊6日の滞在中でどのようなことが印象に残りましたか。

「車窓からの景色、美味しい食事、そして新鮮な空気です。深呼吸をして新鮮な空気を吸っているだけでリフレッシュできる、これは東京では味わえないものですよ。また、北海道では本州のような梅雨がないですし、花粉も少ない。これからの時期の北海道は本当に過ごしやすく魅力的ですね」 (Research&Development部長・山下氏)

▲滞在中の様子①(白鳥大橋主塔登頂クルーズ)

「リフレッシュなら登別市や洞爺湖町、そして白老町、ビジネスであれば室蘭市や苫小牧市というように、どの地域も違ったポテンシャルを感じました。心配していたテレワーク環境も十分整っているように思いました。また、今回はレンタカーを手配しましたが、公共交通を含めた移動手段が事前にわかっていると、地域での行動予定も立てやすいですね。また、「ホーストレッキング」(洞爺湖町)に参加して眺めた景色は特によかったです。訴求力のあるコンテンツだと実感しました」 (中尾氏)

「コーディネーターの方が全地域で自治体職員の方との意見交換の場をセッティングしていただいたのは非常にありがたかったです。課題解決に取り組むパッションを感じられたのは、 “リアル” ならではでした。ただ、限られた時間の中だったので、深い話があまりできなかったのが心残りですね。アクティビティでいえば、いい意味で「白鳥大橋主塔登頂クルーズ」(室蘭市)には裏切られました(笑) 地域の歴史を学ぶことを通じ、課題の根本を知ることができるとは思いませんでした」 (山下氏)

▲滞在中の様子②(訪問自治体職員とのディスカッション)

世界と日本を繋いで、地域がもつ情報を発信するのが私たちの使命

——すでに全社員にシェアされたとも伺いましたが、今回のワーケーション体験で得たものを、今後どのように企業としてつなげていきたいとお考えでしょうか。

「実際に見聞きした地域課題を含め、日本がもつ情報を世界に発信することで、世界と日本の各地域とをピンポイントに繋げることが私たちのミッションだと思っています。今後は、今回の訪問で得られたアイデアをビジネスに昇華させるフェーズに移ります。
ワーケーション導入については、プロジェクトチーム単位での短期集中型のアイデア創出を含め、運用しながら適宜修正します。対話を通じて地域に寄り添ったプロジェクトにすることが、当社におけるワーケーションのあり方と考えています」 (中尾氏)

北海道では、昨年7月から「北海道型ワーケーション 公式Facebook」を開設し、道内各地でのワーケーションの様子を写真とともに広く発信しています(※6月時点で33件投稿)。ユニヴァ・ペイキャスト社の詳しい滞在の様子も今後紹介予定です。